2008年12月12日

ライフ・イズ・コメディ!ピーターセラーズの愛し方(2004)

ライフ・イズ・コメディ!ピーターセラーズの愛し方(2004)

【story】
「ピンク・パンサー」シリーズや「博士の異常な愛情」などで知られる天才喜劇俳優ピーター・セラーズの波乱に満ちた生涯を映画化した伝記ドラマ。1980年に54歳で亡くなるまで、コメディに命をかけた天才俳優の仕事と私生活を巡る真実の姿を描き出す。主演は「シャイン」のジェフリー・ラッシュ。共演に「モンスター」のシャーリーズ・セロン。
 1950年代初頭のロンドン。人気ラジオ番組に出演する役者ピーター・セラーズは、妻アンと2人の子ども、そして両親とつましくもそれなりに幸せな日々を送っていた。映画界への進出を目指すピーターだったが、ハンサムでない彼にはなかなかチャンスはめぐってこない。しかし母ペグの励ましにも支えられ、ついに映画への出演を果たすと、天性の才能を発揮し順調にキャリアを重ね、大きな成功を手にする。ある時、大女優ソフィア・ローレンの相手役に選ばれたピーターは、彼女に熱を上げるようになり、家庭生活は徐々に崩壊の道を辿ることになるのだった。
(allcinema) http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=320233

【review】
ピンクパンサーは何度か観たことがあるけど、ピーター・セラーズという人物については何も知らなかった。この映画を観て改めて彼の作品を観てみたくなった。チャップリンにしても喜劇俳優の人生は、その映画とは真逆にドロドロしていて波乱万丈なことが多いような気がする。それとも“喜劇”をしているだけに、私たちから見てそのギャップが大きすぎるだけicon66
この作品は125分と少し長めだけど、ユニークな手法で撮られているから最後まで同じテンション?で観ることができた。といっても映画自体はコメディではないのでご注意を。

ピーター・セラーズは天才というよりも、むしろ良い悪い両方の意味で「一人の子供」だったことがこの映画では描かれている。ただ人を笑わせたい!という彼の純粋な心が見て取れる一方、自分の子供のおもちゃを壊したり、好きな人(ソフィア・ローレン)のことを悪びれる様子もなく奥さんに言ってのけたりと、まさしく子供じみた行動が衝撃的。

そこには母親の存在が大きく、甘やかしすぎたんだけど理由はそれだけじゃないような。。。

イギリスにとどまらず、アメリカでも大ヒットを飛ばし一躍人気喜劇俳優になるピーター。次第に中身のある人間というものを演じたいという思いが強くなるけれど、周りの人々が求めているのはそんなものではなく、ただ滑稽なことをして人を笑わせる道化役。成長したいのに、周りがそれを許さない。
これは母親にも言えることかも。欲しいものは何でも与え、甘やかし、大人になるための子供が踏むべき段階を彼女がすべて取り払ってしまった。母親が彼を大人にすることを阻んでいた。
父親の臨終のシーンで、ピーターが父親の手を握ろうとした瞬間母親がその手を自分のもとへ寄せたのが印象的だった。守っているつもりが、息子を大事なものから遠ざけていたのだ。

喜劇俳優なるもの笑われてなんぼなのに、彼は笑われることが嫌になってくる。そのギャップが彼を追い詰めていくけれど、彼は自分でそのきっかけをつかんだ。「チャンス」という映画は「自分」というものを持たないある男を描いた映画で、ピーター・セラーズ自身を投影しているよう。

ピーター・セラーズに共感するのは難しいけど、「自分」を探し求め続ける姿には心打たれるものがあった。



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Posted by ERINGI at 02:40│Comments(0)
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